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自動採点ツールをより賢く活用する方法 | ターンイットイン

The Turnitin Team
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Christine Lee
Christine Lee
Content Manager
指導と学びをつなぐために自動採点ツールを活用する

自動採点ツールは学習評価を大規模にサポートするうえで、間違いなく有用なツールです。 個々に応じた具体的なフィードバックと組み合わせることで、大人数のクラスで個別学習を実現するための重要な要素となり得ます。 実用性という観点から、コンピューターサイエンスの分野で自動採点ツールが幅広く活用されています。


ある研究では、 有用なフィードバックを提供すると、その後の学生の課題提出が96% 改善されたことが示されています (Haldeman, et al., 2018)。 同じ研究グループが実施した追研究では、 コンピューターサイエンスのコースの2学期間のデータが集められました。ある学期では2つの課題に対してヒントとフィードバックを提供し、 別の学期ではそのような支援を行いませんでした。ヒントとフィードバックを行った学期では、「最初の間違った課題の提出後に、 同じ課題を上手く完成できた学生の割合が3倍にのぼる」という結果が得られました (Haldeman, et al., 2021)。

ソースコードの自動採点とは

ソースコードの自動採点とは、学生が書いたコードを自動的に評価し、必要があればフィードバックを提供するツールです。 広範なフィードバックを即座に提供するよう設定できるので、素早く効率的な学習を推進できます。ソースコードの自動採点機能は、 コンピューターサイエンスやプログラミング、統計学、データサイエンスの分野で幅広く利用されていますが、 コンピューターサイエンス以外の分野でも活用できます。

自動採点ツールを使用することで、とくに大人数のクラスで採点時間を短縮することができます。また、 既存のワークフローのなかでリアルタイムで学生にフィードバックを返し、学習の次のステップに向けて準備させることも可能です。

「自動化」という言葉を聞くと、教育とコミュニケーションの必須要素である「個別最適化(パーソナライゼーション)」 が取り除かれてしまうと感じるかもしれません。自動採点機能は、カスタマイズして「デバッグ(コンピュータプログラムの不具合を特定し、 取り除くこと)」のためのツールとして、または適切な補足とともに使用できるツールとして、学習評価の公正性を保ち、 フィードバックループをサポートします。正解か不正解かのみを判断する最小限の自動採点機能は、 期末課題のような、問題を解くための直接的なヒントやテストの全容を見せたくない総括的評価で役立つかもしれません。しかし、 実習や宿題のようなローステイクス・テストで自動採点を使用すると、学生は適当に修正した課題を、自動採点機能が「正」 と判断するまで行き当たりばったりで提出する可能性があります。

しかし、自動採点にフィードバックを追加することで、「個別学習(パーソナライズド・ラーニング)」を促し、学生の積極的な学習参加につながります。 即座にフィードバックを受け取れるので、学生は自分でコードを見直し、教員が常に関与していなくても提出期限前に修正版を提出できます。 そうすることで、学生の自発的な学習を促し、個々のペースに合わせた学習も支援します。

個別学習では、それぞれの学生独自のスキルや能力、その他の状況に応じて学習体験をカスタマイズします。つまり、 学生と教員のやりとりをとおして高度な教育を実現する方法なのです。

2018年にEducation Weekが実施した調査では、3人に1人の管理者が、個別学習を 「公教育を改善するための変革手段」と捉えています。そして管理者の57%が、 デジタル技術は個別最適化を補完する効果的なツールとして考えています。

引き続く2019年のEducation Weekの調査によると、 教員の46%が個別学習を肯定的に捉えており、回答者の91%が、 デジタルツールが学習を効果的にカスタマイズすると認めています(p. 4)。個別学習は、 学生の学びを支援するための教育アプローチとして受け入れられているのです。

個別学習を実現することで、教員は一人一人の学生の学びをサポートできます。たとえば、 成績の良い学生と悪い学生のギャップを縮めることで、ソフトウェアエンジニアリングの分野に進む優秀な学生の数を増やし、 多様性も高めることができるかもしれません(Aravind & Balasangameshwara, 2019)。


自動採点ツールにより個別学習を実現するための課題とは

ソフトウェアプログラミングの指導では、評価とフィードバックについて独自の課題があります。

  • すぐに行動に移せる有用なフィードバックは時間がかかる。
    ジョンズ・ホプキンス大学でコンピューターサイエンスを教える スコット・スミス教授はこう述べます。「プログラミングを教えるコースでは、 課題解決のためのプログラミングを書くプロジェクトを学生に課す。この手の課題を教員が評価するとき、プログラムの結果だけでなく、 個々の学生のアプローチも丁寧に見る必要がある。結果が正しくなかったり、プログラムが動かなかったりすると、 われわれ教員はデバッグのために何百行ものコードを時間をかけてレビューし、有用なフィードバックを与えなければならない」

  • 「正/誤」を示すバイナリシステムでは学習が誘発されない。
    学習支援のために自動採点ツールを活用しても、有用なフィードバックがなければ、学生には次のステップが示されません。そうすると、 学生は適当に修正を行い、学習の機会を逸してしまうかもしれません。ワシントン大学で教育担当の助教を務める ケヴィン・リンは、「学生は、どうやら適当にコードの微修正を行って自動採点ツールに提出し、 与えられたテストすべてに合格するまでそれを繰り返す、自動採点中心のサイクルが結果として生まれている」と述べています。

  • 自動採点ツールに依存しすぎると、自主的な学習が阻害される恐れがある。
    自動採点ツールはとくに大人数のクラスでは学習評価をサポートする役に立ちますが、下手に設計された自動採点機能だと、 学生が概念を理解するのでなく、自動採点機能の特徴を学ぶことになりかねません。研究によると、「学生は自分自身で注意深く内省する代わりに、 自動採点機能を使う(可能性がある)」ようです(Baniassad, Zamprogno, Hall, & Holmes, 2021)。

自動採点ツールを用いて、学びを促進するための提案
  • Gradescopeなどの採点支援ツールを採用し、ルーブリックやフィードバックと共に自動採点機能を活用すると (クラスの規模にかかわらず)採点時間を短縮できる と言われています
    Gradescopeでは解答のグループ分けを自動で行い、教員がひとつの問題を採点すると、同じ解答は自動的に採点が反映されます。 教員が苦労してすべての提出物を管理する必要がないのです。また、 タイムリーなフィードバックによって学生は学習中に結果を受け取ることができるので、学習の次のステップに進みやすくなります。

  • フィードバックループを加速させて学習成果を高める。
    Gradescopeでは、教員により事前にアップロードされたソースコードの自動採点が、学生のコード提出後すぐに実行されます。 これにより学生は自分の書いたコードについてリアルタイムでフィードバックを受けられるので、即座に間違いを修正できます。ある事例研究で、カリフォルニア州立工科大学ポモナ校で数学・統計学の助教を務めるジリアン・ キャノンズ教授が Gradescopeを活用し、ほぼリアルタイムのフィードバックを集中管理して、 学生が正しい解答を得られるまで課題をやり直すよう促しました。「キャノン教授は、 学生が自分の学びや成果に対して主体的に取り組むようになったことが分かりました。学生は10点中7点で妥協するのではなく、 満点を取れるまで課題をやり直しました。そのような自発的な取り組みにより概念の習得が大幅に進み、 コンピュータープログラミングへの情熱がかき立てられたのです」

  • 自動採点ツールを学生のコードをテストするだけでなく、学生自身のテストを評価するように設計する。
    学生がテスト駆動型の開発に取り組めるようにしましょう。その結果、学生は自分のコードをどのようにテストすべきか考えるようになり、 他者が作ったテストに依存することがなくなります。レート制限や選択的出力を伴う、優れた設計の自動採点は、 秀でた試験設計とともに用いられると、学生は自動採点のみに頼ることをやめ、提出物に対してより深く考えて取り組むようになります。
  • Gradescopeのような採点支援ツールを活用して、 ひとつの課題のなかで自動採点と 手動の成績付けの両方を取り入れる。
    教員は学生の文章のなかにコメントやフィードバックを残すことができます。スコット・スミス教授は「翌学期の『プログラミング言語の原則』 という授業にTA(ティーチングアシスタント)がつかないと知らされたとき、Gradescopeの機能のひとつである、 ソースコードの自動採点機能を使用した。学生が提出したコードに自動で成績とフィードバックが与えられる機能は、 プログラミングを教える教員の長年の夢だ。教員は分析の基礎となる採点用のスクリプトを作り、 それぞれの学生が提出したプログラムの問題点に対して、採点とフィードバックを行う。今回は、自動採点機能が本当に頼りになった」と述べます

  • ローステイクス・テストを頻繁に行うことで、学習の透明性を高め、学びを支援する。
    学生が何を理解していて、何を理解していないのかを知ることで、教員は個々に応じた指導を行うことができます。 自動採点により教員の時間的な負担が軽減され、また、学生はコードを書く回数を増やせます。バージニア・コモンウェルス大学では、デブラ・デューク教授がGradescopeを活用し、 「レビューとフィードバックを部分的に自動化し、時間を節約できた。これにより、デューク教授はプロジェクト課題の数を増やし、 個々の学生に合わせた具体的なフィードバックを実施できるようになり、学生は以前よりも50%多くのコーディング練習を行うようになった」 ことが示されています。

  • 自動採点ツール内で学習機会を特定して示すと、具体的な指導につながる。
    カールトン・カレッジでコンピューターサイエンスの助教を務めるアンヤ・E・ヴォスティナー教授は、 Gradescopeの自動採点機能で学習機会を促進するための独自のヒントを共有してくれています。

採点を効率化することで、従来の採点に費やしていた時間を半減し、学生の個々に合わせた学習を推進します。そうすることで、 教員は学生の指導により多くの時間を使えるようになります。